開宗八五〇年慶讃事業にむけて 大本山清浄華院第八十三世法主 飯田実雄 令和六年に迎えます浄土宗開宗八五〇年もあと一年半と迫って参りました。この記念すべき年を迎えるにあたり、大本山清浄華院として慶讃事業を計画いたしました。 現今、日本をとりまく状況は大きな変化があります。 少子高齢化や人口減、家の後継者がいない(絶家)が増えてきました。さらにコロナ禍により人と人との交流、会社の縁、地域の縁、血縁の結びつきが薄い断絶社会になりつつあります。こうした現代社会の将来への漠然とした不安感に対し、浄土宗大本山の役目は重要であると考えます。 清浄華院では昨年、法主、執事が全員新任となりました。多くの人に法然上人の御教えを伝え、お念仏をお称えするご縁を結ぶための研鑽・教化事業を始めています。またこの浄土宗開宗八五〇年という勝縁にあたり、法然上人への報恩の誠を尽くすべく、 御影堂の法然上人像、須弥壇、宮殿、御廟の修復を計画しているところです。 何卒、この慶讃記念事業完遂にむけて、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 南無阿彌陀佛 合掌
大本山清浄華院は、「浄土に咲く蓮の華のように、清らかな修行ができる場所」という意味の名にふさわしく、浄土宗の大本山として三つの特徴を持つ本山です。 一つめは「研鑽道場としての大本山」清浄華院の堂舎では、法然上人の時代よりお念仏の声を絶やすこと無く、様々な道場や講議の開設、さらには僧侶の資質向上を目指した研鑽講座を開講するなど、浄土宗僧侶を育てる為の役割を果たす大本山であります。 二つめは「教育福祉の充実した大本山」清浄華院の境内には、浄土宗の大本山寺院という宗教法人の一面だけでなく、僧侶養成道場である佛教大学の浄山学寮と、介護老人福祉施設である「つきかげ苑」があり、宗教法人、学校法人、社会福祉法人の三種の法人が共存しています。多様な社会に応じて全ての人とのご縁を大切にしている大本山です。 三つめは「伝統文化を重んじる大本山」清浄華院の歴史は古く、貞観二年(八六〇)に慈覚大師円仁によって四宗兼学・鎮護国家の道場として建立されたのが始まりと言われております。その寺院を法然上人が宮中に参内される際の宿舎として賜り、それ以降、浄土宗の寺院となりました。古くより、日本仏教における重要な役割と、皇族との関係を今も受け継いでいる伝統と格式のある意義深い大本山です。 これらの特徴を元にして、浄土宗開宗八五〇年慶讃事業として以下の三つを行います。
【 清浄華院の「SDGs(持続可能な開発目標)」】
清浄華院では国連が推進する「SDGs※(持続可能な開発目標)」に賛同し、開宗八五〇年慶讃法要期間中にSDGsともいきの日・ふるさとの日・平和の日を設け、法要、講演、展示、体験ブースを企画し、ともに幸せを求められる生きやすい社会、そして世界について発信します。※持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、二〇一五年九月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ」に記載された二〇三〇年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。一七のゴール・一六九のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。(外務省HP)