畦講師のコラム

清浄華院カウンセリング研修会・NLP・京都・資格

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NLPカウンセリングコース

NLP(神経言語プログラミング)は、米国のリチャード・バンドラー、ジョン・グリンダーの二人を中心に開発された実践的なコミュニケーションツールです。現在、欧米を中心に世界的に広まりを見せています。また、ビジネス、教育、カウンセリング・セラピーなどさまざまな分野で活躍する人たちが、このNLPのツールを使用し、実践しています。

創始者の二人は、当時アメリカでは著名な3人のセラピストをモデルに、言語パターンを中心にしたコミュニケーションスキルを開発しようとしました。その3人は、家族療法のバージニア・サティア、催眠療法のミルトン・エリクソン、ゲシュタルト療法のフレデリック・パールズです。バンドラーとグリンダーは、彼らの言語・非言語のパターンを分析、研究していくうちに、この3人には特徴的なそれぞれのパターンと、共通するパターンがあることに気づいたのです。

創始者の二人はこの成果を抽出分類して、誰もが使用可能で、かつ効果的なコミュニケーションツールへと発展させNLPを体系づけました。ここを起点としてNLPは、特定のセラピストのコミュニケーションパターンというレベルから、他者とのコミュニケーションを必要とする全ての人々、分野へとそのひろがりを見せ、現在も多くのスキルが開発されながら発展し続けています。
また、開発国の米国を始め、多くの国においてNLPの開発者やトレーナーたちが、それぞれ独自のスキルを開発しながら特徴あるNLPが創出され続けています。日本でもNLPが広まりをみせ、多くのトレーナーたちが自分たちの感性にあった形でNLPを開発しながら普及に努めています。
日本には『和魂洋才』という言葉があります。それは、日本人としての大切な部分は失わず、役に立つものは外国のものでもどんどん吸収するという考え方です。日本は明治以降多くの文化や技術を海外から吸収してきました。戦後では、自動車産業の成功パターンはこの『和魂洋才』の顕著な成功例でしょう。吸収し、それを使いこなし、やがてよりよいものを作り出していく、これは我々日本人の感性であり、日本の文化的土壌でもあります。

NLPが日本に定着し、多くの人にとって真に役立つコミュニケーションスキルになるためには、今後日本語のもつニュアンスや、日本人の感性や感覚、さらには日本的な思考パターンというようなものとのすり合わせが必要になり、日本人の感性によりマッチしたスキルとして発展していく必要があるでしょう。NLPが日本に入ってきて20年近くなりますが、これからがNLPの真価が問われる時期だといえます。われわれ日本人にとってより使いやすい、日本人のためのNLPを創成する時期だともいえるでしょう。そのためには、多くのNLPトレーナーや現場でNLPを使いこなしている方々とともに、創意工夫を積み重ねながら、既存のスキルの検証、新たなスキルの吸収、開発に努めていくべきだろうと思います。

NLPは、NLP単独での使用よりも、他の技法や体系と合わせて利用するほうが、その存在意義を高めるものだと思います。私自身はカウンセリング・セラピーの現場でこのNLPを活用し、利用してきました。メタモデル、ミルトンモデルに代表される言語パターンスキルの一部は、クライアントとのセッションになくてはならないものになっています。このような観点からNLPを、カウンセリング、セラピーの分野でいかに応用し、カウンセリング、セラピーの可能性を高めていこうという思いからNLPカウンセリングは生まれたものです。
カウンセリング・セラピーの現場でNLPをどう利用していくかとういことについては、カウンセリングとセラピーの違いや共通点を理解することが必要になります。カウンセリングとセラピーは、ほとんど同じような意味合いにも聞こえますが、厳密には違いがあるものだと、私自身は考えています。そこでここでは、カウンセリングとセラピー(心理療法)の歴史から理解していきます。

カウンセリングの始まり

カウンセリングは、20世紀初頭のアメリカでの職業指導、適性検査、精神病院での患者の人権尊重運動などから生まれたものといわれています。それは対象者の話をよく聴き、適切なアドバイスをするための方法がカウンセリングでした。カウンセリングは、職業・進路指導と教育の場面で発展し、そこから、社会生活が困難な個人の問題解決やサポート、精神的健康増進のためのメンタルヘルスを目的とするものへと、その対象とサポート範囲を拡大・発展させてきた歴史があります。

そして、カウンセリングが発展する歴史の中で対象としていたのは、あくまでも現実的な社会適応や具体的な問題解決が目的でした。したがって当初は、こころの病や深刻なパーソナリティの問題など、精神医療の領域の問題はカウンセリングの対象ではありませんでした。 しかし現在では心理カウンセリングとして、心の問題に関わることが主になってきた感があります。

心の問題への有効なアプローチとしてのカウンセリングを提唱したのが、カウンセリングの父とも言われるカール・ロジャーズです。彼は、カウンセリングをクライアント中心にとらえ直し、カウンセラーがクライアントとの関係の中で、クライアント自身の内面を自由に吐露できる状態を作り続ければ、クライアントは気づきを得て、自らが変化するプロセスを歩むようになるとしました。

ロジャーズは「受容・共感的理解・自己一致」をカウンセリングの3原則とし、カウンセラーがこの原則に沿って、クライアントの話す内容を傾聴することをカウンセリングとしたのです。
この技法はクライアント中心療法とも言われ、カウンセラーがクライアントにアドバイスをしたり心理分析的な介入をすることなく、クライアントの存在を尊重しながら傾聴を続けることにより、自然な形でクライアントに必要な気づきがもたらされるとする考えです。そのため、技法よりもカウンセラーの心的態度、人間としてのあり方に重点がおかれる傾向があるといえます。

日本では戦後から学校教育にカウンセリングの導入が試みられ、ロジャーズの方法が採用されたことによって、日本でのカウンセリングはロジャーズの方法が一般化しています。

心理療法(セラピー)とカウンセリング

本来「こころ」の問題を癒す心理療法といわれるものは、神経症=ヒステリーの治療から生まれたもので、19世紀のフロイトによる精神分析に遡ることができます。フロイトはそれまで原因がわからなかった神経症の症状が、個人の深層の意識に潜む、さまざまな感情や記憶にあるとし、それらの感情や記憶が個人の意識から抑圧されたり、分離されたりすること、つまり、無かったことにされていると、その感情や記憶は、どこかで個人の意識の領域に出てこようとするものだと考えました。しかし、それらの感情や記憶は、時に心の傷(トラウマ)としての記憶であることが多いため、意識の上にのぼらせることは、その本人に苦痛を伴わせるものとなります。すると人はその心の傷(トラウマ)でもある体験の記憶や感情を再体験することを避けようとします。この避けるための努力として、その本人には全く気付かれないレベルで、さまざまな症状を持つに至ると考えるのです。これを一次的利得とも呼びます。つまり、その過去のトラウマに直面化しないように、他の心的葛藤や身体的症状に置き換えてしまうというのです。症状とはある意味、その個人の直視できない過去の体験の記憶を想起させないための防衛的措置でもあるわけです。ですから、さまざまな心的症状は、本人の意識的な思いとは別に、本人のためになっていることになるわけで、それは無意識下で働き続けるプログラムのようなものといえます。

クライアントは自らの症状を改善するために、自身の無意識に存在するトラウマまたはトラウマ的な体験と向き合わねばならないのです。それは簡単なことではありません。多くの場合、それらの作業には心的な苦痛を伴います。また、症状がもたらす二次的利得(症状・病気のおかげで得るもの)を手放すこともクライアントにとっては思わぬ障壁となります。

フロイトの時代、このセラピーの手法の中心は、催眠誘導による暗示によってなされていましたが、フロイトによる精神分析、自由連想法が創始されると、心理療法はセラピストとクライアントが対話をすることが中心となっていきます。その後心理療法は、F・パールズのゲシュタルト療法、催眠、家族療法、またスピリチュアルなレベルにいたるまで、さまざまな技法、領域を取りこみながら進化しています。

NLPとカウンセリング・セラピー

カウンセリング、セラピーは、それぞれ始まりも考えも違うものですが、クライアントの話に耳を傾け、その結果として、何らかの気づきや問題への理解、行動の変化等をもたらすことでは一致しています。ですからその区分があいまいになることは、ある意味必然的なことになります。


カウンセラーになろうと志す人の中には、カウンセリングとセラピーの違いを充分に理解していないことが多くあります。ですから、実際のクライアントを前にして対応できないことがあまりにも多いということに、実際に現場に立ってみて気づかされるということが多いのです。
また、視点をクライアント側に移した時でも、何がセラピーでカウンセリングなのかということは、そもそも理解する範疇にはないものともいえます。

簡単に両者の違いを言えば、カウンセリングは傾聴を主体とした受容的、共感的な関わりを継続することによってクライアント自らが気づきを得ることを目指すものです。セラピーは、より積極的な心理的介入がなされ、問題の解消や解決を明確に目標としてなされるものであることです。これを例えれば、カウンセリングは内科的、東洋医学的関わりであるのに対し、セラピーは外科的、リハビリ的な関わりということが言えるでしょう。そして、この両者はどちらが良い悪いというものではなく、クライアントの状態、クライアントの目標によって、その都度使い分けられるべきものであると考えています。
ですから、カウンセリングを学ぶという場合、一つの方法にこだわることなく、またセラピーのレベルまで学習の領域を広げ、深めていくことが重要になってくるのです。そういった観点から、NLPカウンセリングという言葉には、カウンセリングレベルだけでなく、当然セラピーレベルの内容も含まれるということになります。
NLPは、3人の著名なセラピストのパターン分類から生み出されたものです。ですからNLPにはもともとセラピー的な要素が色濃く反映されているのです。タイムライン、トランス誘導などはその顕著な例だといえます。また逆にいえば、セラピー的要素は当然あるものの、そこからさらに違う領域にまで応用可能なスキルとして体系づけられていることもNLPの優れたところです。

私自身がこれまでカウンセリング・セラピーを行ってきた中で、NLPを使用、応用し多くの成果があったと認識しています。もちろんNLPが全てに対してオールマイティーであるわけではありません。ただ言えることは、カウンセリング・セラピーにNLPを応用することは、私自身のこれまでの経験からして、クライアント・カウンセラー(セラピスト)双方にとって望ましい結果を生み出しやすくなるということです。 
NLPのスキルは多岐にわたりますが、その中でもカウンセリング、セラピーに有用と思える内容を中心に学んでいただきたい、そういう思いから、NLPカウンセリングの4日間は、カウンセリング、セラピーへの理解とともに、実際の現場で使えるスキルを学習していきます。さらにアドバンスコースでは、NLP以外のスキルも併せて学んでいきます。まずはNLPカウンセリングの4日間は基本であり、入門講座といっていいでしょう。