NLPアドバンスコース
NLPカウンセリングが目指すものは、個人が生きる場において心の安定を得て、自らの能力、可能性を最大限に発揮できるようにカウンセリング・セラピー(心理療法)を用いて他者を援助することにあります。NLPカウンセリングで重要なことは、『聴く、伝える、読み解く、構成する』の4つの方法とその力です。カウンセリングはクライアントとカウンセラーの人間的なコミュニケーションです。ですからそこには対話が存在します。対話は聴くだけでも、語るだけでも成り立ちません。カウンセラーに要求されるのは、クライアントの語りに耳を傾ける傾聴力(聴く)と、適切な質問を行う質問力によって、ときには伝え、また必要な情報を収集し、クライアントの心的構造を理解し(読み解く)さらには解釈してそれを伝え(伝える)、クライアントにより深い洞察を促し、さらに、聴き、伝え、読み解きをくり返しながらクライアントの問題を整理し、物語りを再構成する構成力(構成する)の4つがバランスよく統合されていることなのです。
カウンセリングとセラピー
カウンセリング、セラピーとは、より良い人生を生きようとしている人に対する心理的援助であり、クライアントがこうなりたいと願う状態へと移行できるよう、クライアントの変化を促す作業といえます。この場合、カウンセラーは傾聴を中心とし、相互の信頼に基づく安定的な関係の維持を図ることが主たるスキルといえます。カウンセリングとは、クライアントとカウンセラーの意識レベル、潜在意識レベルでの対話であり、関係そのものが相互作用をもたらすものです。その中でクライアントが自分自身、または問題に対して何らかの『気づき』=『変容をともなう洞察』が起こり、望ましい状態へと移行していくことを目指すものといえます。
セラピーとは、介入的、専門的で、より治療的要素の強いものと理解してよいでしょう。また対象者も、より症状の明確な者(うつ、神経症、アディクション、適応障害など)も含まれます。ただ、病理の深いクライアント、境界性人格障害(ボーダー)、重度のうつ、統合失調症、神経症で症状が固着化したクライアントなどにはセラピー的な介入は控えたほうがよいでしょう。その場合はカウンセリング的関わり、傾聴を中心としたアプローチの方が安全です。
セラピーは、カウンセリングで扱うより困難な症例も含まれますが、それはクライアントとセラピストが治療的関係を継続できる状態、つまり、ラポール(相互信頼関係)があることが前提となります。スキルについても傾聴のみではなく、トランス誘導、感情の解放、統合のワーク、などの具体的な働きかけ=介入がおこなわれます。もともとセラピーは治療するという意味がありますから、クライアントの意識レベルではどうにもならない、より深い潜在意識、無意識レベルでの働きかけということになり、医療で例えれば外科的処置と似ています。
NLPカウンセリングは、クライアントに合わせた柔軟な対応をその中心に置いています。ですから、クライアントの状況や希望に合わせる形で、カウンセリング、セラピーを使い分けることが大切になります。ですから、NLPカウンセリングはそのままNLPセラピーとも言えます。ですから、このNLPアドバンスコースは、通常のカウンセリングレベルでは扱わない、より高度で、専門性の高い実践的スキルと理論を学んでいきます。
【質問】 NLPアドバンスコースで学ぶ具体的なスキルはなんですか?
このコースは、NLPの基本的な考えやスキルをベースに、クライアントのさまざまなニーズに対応するようにデザインされています。ベースとなるものはNLPプラクティショナーで理解しうる内容のスキルが中心になります。アウトカム、効果的質問、メタモデル、タイムライン、メタポジション、サブモダリティーなどです。
NLPは柔軟性を最も大切にします。ですから、クライアントへの働きかけに際して柔軟な対応が図れるかどうかが大切です。そういう観点から、NLPアドバンスコースはNLP以外の多くのスキルを学んでいきます。
積極的傾聴、フォーカシング、ゲシュタルト療法(エンプティチェア)、システムセラピーが主なスキルになります。
また、これらのスキルを駆使するために必要な、その背景となる理論も併せて学習します。フロイト、ユングに代表される精神力動論、夢分析、トラウマについて、チャック・スペザーノのビジョン心理学、バート・ヘリンガーが創始したファミリー・コンステレーション、またその背景にある現象学への理解、トランスパーソナル・サイコセラピーなど多岐にわたります。
【質問】 システムセラピーとはなんですか?
システムセラピーは、人間存在、また人間の心的内部構造を含めて、それらをシステムとして理解します。この場合、セラピストが関心を向けるものはそのクライアントのシステムであり、それをより正確に言えばクライアントの意識下に存在するプログラムといえます。システムとは相互に作用しあう要素(部分)の集まりであって、全体としての機能をもち、システムそれ自体で自己完結している状態であり、かつ他のシステムとも関係しつつ存続していこうとする体制化された構造とされます。
例えば、個人が抱える心の葛藤が、純粋にその個人だけのものなのか?という問いかけから始まるのです。もしかすれば、それは家族の誰かが持ち続けていた未完了な感情を、本人はそれと気づかぬうちに取りこんでしまっていたのかも知れません。そして、これは本人から見て、その両親、祖父母、あるいはそのさらに上の肉親であったり、時には家族以外の誰かである場合すらあります。本人が知っていようがいまいが、家族、集団の無意識は我々の想像を超えて結びついているのです。
この結びつきは、個人の意志に関係なく起こる、と捉えたのがファミリー・コンステレーションの創始者である、バート・ヘリンガーです。これは集団における無意識の力動と呼べるものです。この集団の力動を明らかにすることによって、個人が抱える問題の根本的要素が浮かびあがってきます。この作業はグループでの作業となり、グループの誰かがクライアント本人、家族、あるいは問題そのものの代理をすることによって解き明かされていくものです。実際に働きかける現場は、ヒーリングコースにおいてです。
このスキルは、バート・ヘリンガーが創始したファミリー・コンステレーションをベースに、家族以外の集団のシステム、あるいは個人の内面に複数存在する自己概念=システム化されたプログラムなどを、グループセラピーの現場で、代理人を通して再現し、それに働きかけます。
ファシリテーターによって、これまで認識されてこなかった家族システムに関わる問題が明るみに出されるのです。それは時として、クライアント自身が受け入れ難いような事柄や事実すらあります。
家族のシステムとともに、クライアント個人の問題は本人の意識下にあるプログラムです。プログラムとは、ある結果を出すための一連の手続きですが、人間の無意識にもプログラムが存在します。その代表的なものは、アディクション(依存症)、TA交流分析でいう人生脚本、共依存関係などです。これらは結果的に、いつも同じパターンを繰り返すということにあります。この繰り返しのパターンに陥ると、そこから抜け出すことがかなり困難になります。どれほど未来の幸福や成功を願ったとしても、気が付けば元の状態にもどってしまいます。
システムセラピーは、このような本人の意志だけでは困難な状況の改善のために考案されたセラピーです。それは家族レベル、個人のプログラムのレベル、あるいはその両方、問題を生み出す要素はさまざまです。システムセラピーでは、クライアントの問題を解決するために、最も効果的なポイントはどこにあるのか?を探し出し、そのポイントに働きかけます。つまりレバレッジ(テコの原理)効果をねらうわけです。
【質問】 トランスパーソナル・サイコセラピーとはなんですか?
トランスとは、ここでは『超えた』という意味において使用されます。つまりトランスパーソナルとは一人の人間の存在=個を超えた、という意味になります。人間の成長は、自我の確立、実存の自覚、自己実現などの言葉で示される人格=個人性=パーソナリティの段階で終わるのではなく、他者、共同体、人類、生態系、宇宙との一体感、同一性の確立、即ち自己超越の段階に到達できるとする考え方です。そして、人間の心は生まれつき構造的にそうした成長の可能性を持っており、その成長は、適切な方法の実践によって促進できるという考えです。
このようなトランスパーソナルな視点にたったセラピーをトランスパーソナル・サイコセラピーと呼びます。それは、人間を霊的成長の過程にある存在、あるいは全体的(システム)として見なし、とりわけそのスピリチュアル=霊性を重要視し、身体的側面、情緒的側面、知的側面、スピリチュアルな側面の統合を目指した癒しの方法なのです。
このセラピーで重要なことは、セラピスト側の人間存在への理解度です。それは人間の魂、霊的、内的成長への衝動を助けるという、宗教的、霊的な仕事だということです。ですから我々セラピストは、単に問題解決や症状の除去といった、自我にとって都合のよいことをするだけのものではありません。セラピーは、より深い魂のためにする何かなのだと受け止めて日々の臨床をおこなうとき、それはおのずとトランスパーソナルな次元に触れつつ行う心理療法となり得るのです。